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御主人様と二匹の奴隷達の物語

レイが綴る牝奴隷ハルとレイの物語、、、、、。ほんの偶然が、私を、、、。

掌編人形屋秘譚 其の七

 
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小間物屋 定勝 

定吉、お勝、お輝が、そろって番頭に呼ばれた。
「定吉、お前の女知音緊縛活人形、大店のお客様もお喜びだ。
 そこでな、ぜひ職人に会いたいし本物の女知音も見たいと、
 そんなお申し出があってな。
 挨拶かたがた、広間に顔を出してくれ。
 大店様に御目通りしておけば、これから仕事が増えるぞ。」
「番頭さん、ありがたいお言葉ですけんど、お断りいたしやす。
 女知音人形にすべてを写してありますので、それでご勘弁を。
 それに、お勝は俺の女房になる女ですから、、、、」
「定吉さん、、、、」
かしこまって伏せていたお勝が、驚いたように顔を上げる。
「そうか、女房の裸体を他人に晒すのは嫌だろうなぁ。
 それでは致し方あるまい。儂からお断りしておこう。
 女知音なのにお輝だけ、という訳にもいくまいしな。」



定吉とお勝のささやかな祝言が執り行われた後、
定吉は、近くに間口二間ほどの小さな店を与えられた。
分家というわけではなく、緊縛活人形の作業場である。
評判が評判を呼び、定吉は緊縛活人形専門の職人となったのだ。
表店の狭さに比べ裏の作業場は驚くほどに広い。
世間体もあるので、『小間物屋定勝』という名をつけて、
お勝が足袋や風呂敷などの小間物を売っている。

小間物屋定勝は、店仕舞いがとても早い。
夕の七つにはもう暖簾をおろし、雨戸をたててしまう。
そして、雨や嵐の日には、店を開ける事もしない。

夕の七つ過ぎ、雨の日、風の日、嵐の日、
必ず小間物屋定勝に通う女がいた。
そう、お輝である。
お針子仕事をしながら、刻がくるとここに通っている。
番頭からもそう命ぜられていたし、お輝自身もそれを望んだ。



木枯らしで冷え切った体に、差し出されたお茶が心地良い、、
「お勝さん、どう? 新婚の気分は、、、」
「うん、なんか落ち着いた気はするけんど、、、
 あんひと、仕事ばっかりでさぁ、
 まともに抱いてくれないのよ、、、、」
「夜伽はないの?」
「そうじゃなくてさ、抱いていただく時は、
 いつも縛られてるの、、、、」
お輝はそれをお勝の『のろけ』と聞いた、、、


「おぉ、お輝、来てたのか。
 お勝、いい事を思いついたぞ。
 緊縛人形の端材を焚き木にするのが惜しくてな。
 何かに使えないかと考えてたんだ。
 これで、根付を作ったらどうかなぁ、、、」

また仕事の話だ、、、、
そんな意味を込めてか、お勝がお輝に頷く、、、

根付の雛型になって、、、、
小さく丸まるように緊縛されて、
お勝とお輝が、根付の雛型にされている、、、
これ、、小間物屋で売るわけにはいかないかなぁ、、、、
窮屈な姿勢で縛られながら、お輝はそんな事を考えている、、、





先日の晩も『お披露目』があって、
過日、上女中になったお針子と下女中が、
あられもない肢体を桜の樹の下に晒して、売られていった、、
お輝は、幸せを感じている。
こうして定吉の緊縛雛型でいるうちは、
源三の『生き人形』にされて売り飛ばされることはないだろう。


もうすぐ正月がくる、、、
めまぐるしいほどの一年だったと、
縄の痺れを味わうように噛みしめるお輝であった。



 ********  完  ******** 

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じつを言えば的あとがき

じつを言えば、
男社会の大店主人の身勝手さと、
それに翻弄される女達の悲惨な末路、、、、
そんな、女工哀史的な展開もありかなぁ
と思っていたのですが、
私自身の構成力や文章力がおぼつかないのはもちろんの事、
気分的にも、
あんなにはしゃいでいるお輝に悲惨な末路を見せるのが辛くて、
安易なハッピーエンドに落ち着かせた、
というのが、本当のところであります。


『人形屋秘譚』、、長くなりましたが、
もう一話だけ、書かせてください。
明日、アップします。どうかお付き合いのほど、
お願いいたします。

 

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