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御主人様と二匹の奴隷達の物語

レイが綴る牝奴隷ハルとレイの物語、、、、、。ほんの偶然が、私を、、、。

掌編縄雨捕り物控 捕り物其の十の弐

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背負い篭 


「茂蔵、お光が失せた。不甲斐ない。」
「御新造様が、、、、どこへ。」
今の槙次郎、嫁じゃねぇ女中だと訂正する心のゆとりもない。
「かどわかし、おそらく作次の仲間に連れて行かれた。
 作次の出生を探れ。作次の糸を引く大悪党が後ろにいる。
 そして、、難事はお光の行方だ。
 この役宅に忍び入り、おなごといえども人ひとり、
 軒を連ねる同心のかみさん達に見つからず連れ去るのは、
 どう考えても難しい。どうやったと思う。」
「そうでげすねぇ、御武家様ならともかく、
 町民が見とがめられずにこの屋敷に入るとすれば、、、、
 裏木戸から来る御用聞きか、棒手振りの行商人、、、」
「おぉ、それやもしれん。
 棒手振りではなく、背負い篭でも担いでくれば、
 お光をその篭に入れて連れ去れるな。」
「そうでげすな。
 背負い篭の行商人は、あんまし見かけませんから、
 きっとどこかで見られているはず。
 その線で、手下に探らせやす。
 旦那、御新造様はきっとご無事でげす。必ず探し出しやす。」



茂蔵の探索は素早かった。
孤児の作次を育てたのは薬問屋遠野屋の主人吾介。
遠野屋は店構えは大きくはないが羽振りが良く、
きっと裏仕事があるに違いないと巷のもっぱらの噂らしい。
背負い篭の件でも耳よりな情報が寄せられた。
野良仕事の背負い篭の百姓は沢山見かけたが、
過日の夕刻、行商風の男が重そうな背負い篭で歩いていたと。
場所は東橋を越えたあたり、、、、、
奇しくも吾介の仕舞屋もその近辺らしい。


「旦那、繋がりやしやね。踏み込みますか。
 手下を集めやす。」
「いや、今は女中といえども元は兄嫁。
 あられもない姿を衆人に晒したくはねぇ。
 すまん、年寄りの茂蔵には荷が勝つかもしれんが、
 ここは俺とおめぇだけで幕を引きてぇんだ。」
「へい、旦那のお心、お察しいたしやす。
 それでようござんす。
 若けぇ下っ引きには目の毒でしょうし、
 あっしは最近、歳のせいか、
 見たもんも、すぐ忘れちまいやすから。」



 ******** つづく ********


 

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