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御主人様と二匹の奴隷達の物語

レイが綴る牝奴隷ハルとレイの物語、、、、、。ほんの偶然が、私を、、、。

掌編江戸妄想譚 其の参

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雨乞い


「おとっつぁん、一服してくださいな。」
仕込みも一段落した賢兵衛に、お礼が茶を持ってきた。

煙管をふかしながら、土間を掃除するお礼の尻を眺める。
開け放たれた油障子から、細かな早春の雨を感じる。

「色っぽい尻になったもんだ。
 、、、、
 あん時も、冷たい雨が降ってたよなぁ、、、。」

賢兵衛は、十数年前のあの日を思い出していた、、、、。






あの時も、五間堀には冷たい雨が降っていた、、

堀端沿いの柳の下で、泣いている娘がいる。
酒の肴の仕込みをしながら、賢兵衛はその声を聞いた。

「おい、どうした?」
四つ身着物の娘、年のころは十ほどか、、、
「おっかさんが、ここで待ってろって、、
 でも、、いつになっても戻ってこない、、、、」
「風邪ひくぞ、とにかく中に入れ、
 店にいれば、おっかさんが来ても、すぐにわかる。」
店に引き入れても、娘は、外を見続けている、、、。

「おい、名前は、年は? どこに住んでる?」
「あたい、、お礼、、、八っつ、、、家は、、印旛、、、。」
「印旛? 江戸は初めてか?」
「あい、昨日、おっかさんと初めて来た。」
「いつ、おっかさんとはぐれた?」
「今朝、、、この先の店で朝飯を食って、、、、。」
「おとっつぁんは?」
「知らん、会ったこともない。」

在で食い詰めた母親が色街に走ったか、、
どう考えても、おっかさんは、戻りそうにない。
この娘、、、捨てられたのか、、、
まぁ、娘を岡場所に売るよりは、まだまともか、、、

番所に届けるか?、それで済む話か、、、?、
しばし思案の賢兵衛。





「おとっつぁん、葱、足りないなぁ。」
お礼が台所で、今日の仕込みの点検中だ。
生きる事に貪欲で、逞しい田舎娘のお礼は、
いつのまにやら、賢兵衛を、おとっつぁんと呼び、
まるで店を切盛りする、かかぁのようだ。

昼間、寺子屋に通い、帰ると居酒屋を手伝い、
朝は、日の出と共に起きだして、草双紙を読む、
読み書き算盤がうれしくて、楽しくて、
そんな日々を過ごしながら、八年が過ぎた。
、、じきに、店の大福帳も任せられるだろう。




ある日、いつもより早く目が覚めた賢兵衛が見たものは、
明け方近くの薄明かりの下、草双紙を読むお礼だった。
声を掛けようとした口が、そこで言葉を失った。
お礼の目は一心不乱に文字を追いながら、
片手が、股間をまさぐっている、、、、。

そっと寝所に取って返し、あの黄表紙を探す賢兵衛。
もう大人だとはいえ、この裏黄表紙だけはいけねぇ、、、、
お礼が読んでいたのは、草双紙なんかじゃねぇ。
大人の黄表紙、それも世間には出回らねぇ、裏黄表紙だ。
先日、昔から付き合いのある版元が、
酒代代わりにおいていった裏黄表紙。
売りに出せねぇ粗悪品の刷り汚しだ、なんぞと言っていたが、
稚拙な物語とはいえ、
そこに描かれた緊縛女が、やけになまめかしい。
昔の俺のやっかいな癖が、もんぞもんぞと顔を覗かせたほどだ。
お礼は、あれを読んで、股間を濡らしていたというのか、、、
もう、大人だとはいえ、あれはいけねぇ。あれだけは、、、。

翌日も、翌々日も、裏黄表紙を読みふけるお礼を見て、
賢兵衛も、ついに声を掛けた。

「ごめんなさい、おとっつぁん、、、。
 あたしも、こんなの読んじゃいけないっては思いながら、
 どうしてもやめられないんです。
 どうか、一度でいいから、こんな風に縛ってください。」

交差させた手首を前に突き出しながら、
お礼は、深々と頭を垂れた。
乱れたままの寝巻きから、よく育った乳房が見える、、、。

「娘に、そんな事なしない。」
「元々、本当の親娘じゃないんですから、、、、お願い、、」

「馬鹿、おぼこ娘に縄する気はしない。」
「じゃぁ、私を抱いてください。、、男として、、、。」

賢兵衛の褌をまさぐり、口を寄せるお礼、、、。
「おめぇ、いつそんな事覚えたんだ?
 ここに足を踏み込んだら、二度と抜け出せなくなるぞ、、」



お礼が初めて縛められて喘ぎ声を漏らしたのは、
夜具を鮮血で汚してから、三日目の雨の夜だった、、、。




「お礼ちゃんももう年頃。嫁にはいかんのかい?」
酔客にからかわれるお礼は、いつも決まってこう言い返す。

「おとっつぁんが、離してくれないんです。
 あたし、ずぅぅっとここに居て、
 おとっつぁんの骨を拾うことにしたんです。」

賢兵衛は、苦笑するしかない。

実は、捕まったのは俺かもしんねぇ、
離さねぇのは、おめぇだろ。










「おとっつぁん、おとっつぁん、
 どうしたんです? そんな呆けた顔をして。
 雨が強くなってきましたよ。
 お店どうします?」

目の前に、お礼とお春が並んで立っている。
賢兵衛は、思い出から今に引き戻された。

「馬鹿、こんなてぇどの雨で、休みにしてたら、
 おまんまの食い上げになっちまう。」

うつむいたお礼とお春の細い肩が、
「せっかくの雨なのに、、」と言っている。

「だがな、これからもっと強くなるかもしれんから、、、
 股縄だけでも、、するか?」

はちきれそうな二つの笑みが、賢兵衛を見つめている。




日照り続きの百姓でも、これほど雨が好きな奴は居るまい。

こいつら、毎晩、雨乞いでもしているに違いない。
 


 ******** つづく ********
 

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コメント


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江戸まで行かなく昭和の初めですね~

昔戦争前後のNHKの朝ドラおしんに見えてきた?頑張ってください。僕も、物語の中に入れて欲しいです。れいの厳しい実の親父で良い感じでしょうか?居酒屋の娘の客かなぁ~

茶 | URL | 2012年11月11日(Sun)09:55 [EDIT]

策略

いけねぇ いけねぇ…と言いながら、実は賢兵衛さんの練りに練った罠だったんじゃねぇのかい。
流石に お礼が秘密の場所から裏黄表紙を探し出すとも思えねぇ。
無理やり手込めにする訳にもいかず、考えに考え抜いた妙案なんだろ。
いい加減に吐いちまったらどうなんだ。
え、賢兵衛の旦那。
吐けば楽になりやすぜ。

そんな最終話を予想してます(笑)

玉露 | URL | 2012年11月11日(Sun)13:19 [EDIT]

茶さん

当然ながら、茶さんの登場はありませんが、
通行人その1、的にエンドロールで、、、、

じゃぁ。       レイ
 

Ray | URL | 2012年11月11日(Sun)18:51 [EDIT]

玉露様、ありがとうございます

お礼が、自分のMに気付く、、、
そんな状況をいろいろ考えて、無理やり引っ張り出した裏黄表紙です。
まぁ、苦肉の策であります。
賢兵衛が隠し持っていたに違いない裏黄表紙を、
お礼が見つけ出してしまう事自体、無理やり、、って感じですよね。

>賢兵衛の策略、、、
それは思いつきませんでした。
確かにそういう展開をからめたら、この先、別の雰囲気のお話になっていったかも、、。


ありがとうございました。
又、遊びに来てください。   レイ
 

Ray | URL | 2012年11月11日(Sun)19:01 [EDIT]

とにかく引き込まれています。

どのお話も情景が浮かぶようですが、特に其の参は幼い少女を自分に当てはめてしまって、もう5回は読み返しています(テレます^^;)

気の利いたことが言えなくてお恥ずかしいのですが、はまっている読者がここにひとりおりますことをお伝えいたします^^

最後まで楽しませてくださいね。

りん子 | URL | 2012年11月12日(Mon)20:56 [EDIT]

りん子さん、ありがとうございます

りん子さんに、コメントいただけるとは思ってもいませんでした。
感激しています。

時代設定を『江戸』としただけで、
現在のの私達と同じ御調教内容だったとしても、
なぜか、しっとり、しっぽりしてしまう感じです。
自分で綴りながら、私も、江戸の時代で遊んでおります。

稚拙な文章ではありますが、
りん子さんの、心のどこかを揺り動かす事ができたのなら、
それはそれで、筆者の喜び、と取ってもよろしいのでしょうか?

ありがとうございました。
じゃぁ、又。         レイ
 

Ray | URL | 2012年11月13日(Tue)18:17 [EDIT]